朝の支度で靴を履かない、ご飯は「やだ」、ひっくり返って大泣き…。急いでいるときほど動いてくれず、気づけば声を荒げて、あとで自己嫌悪、という日もありますよね。イヤイヤが毎日続けば、心も体もすり減るのは自然なことです。この記事では、イヤイヤ期の背景と、場面ごとに試しやすい声かけ、そして親が疲れ切らないための考え方をまとめました。
イヤイヤは「自分でやりたい」気持ちの表れ
1歳半〜2歳ごろになると、子どもは「自分」という意識が育ち、「自分で決めたい」「自分でやりたい」という気持ちが強くなります。一方で、気持ちをことばで伝える力や、がまんする力はまだ育ちの途中です。そのギャップが「やだ!」や大泣きとなって表に出やすいのがこの時期です。
始まる時期も続く長さも、子どもによって大きく違います。イヤイヤが強いのは、育て方が悪いからではありません。
- 受け止める:「まだ遊びたかったんだね」と気持ちをことばにする
- 選ばせる:「青い靴と赤い靴、どっちにする?」と小さな決定権を渡す
- 待つ・切り替える:落ち着くまで安全を確保して待つ、別のものに注意を向ける
場面別の声かけ例
| 場面 | 試したい声かけ・工夫 |
|---|---|
| 着替えを嫌がる | 服を2枚並べて「どっちにする?」。ズボンだけ自分ではく、など一部を任せる |
| 歯みがきを嫌がる | 「ぬいぐるみさんから先にみがこう」「10数えたら終わり」と見通しを伝える |
| 公園から帰らない | 「あと滑り台3回で帰ろう」と事前に予告。帰り道の楽しみ(信号の色を数える等)を用意 |
| ごはんを食べない | 無理に食べさせず、時間を決めて片付ける。自分で選んだ器やスプーンを使う |
| お店でひっくり返る | 周りの目より安全を優先。少し静かな場所へ移動して落ち着くのを待つ |
うまくいく日もあれば、何をしてもだめな日もあります。「この方法が効かない=失敗」ではないので、いくつかの引き出しを持っておく感覚で大丈夫です。
イヤイヤが起きにくい環境づくり
声かけと同じくらい効果があるのが、「イヤ」が起きにくい環境を先に整えておくことです。
- 見通しを伝える:「ごはんを食べたら歯みがき、そのあと絵本ね」と次の予定を先に話す。時計や絵カードを使うのもおすすめ
- 触ってほしくない物は見えない場所へ:「だめ」と言う回数そのものを減らせます
- 自分でできる仕組み:低い位置に服や靴を置く、踏み台を用意するなど、「自分でやりたい」を満たせる工夫
- おなかがすいた・眠いを避ける:空腹や眠気はかんしゃくの引き金になりやすいので、お出かけ前に軽く食べる、昼寝の時間を守る
気持ちをことばにする手伝い
「やだ」としか言えないのは、気持ちを表すことばをまだ知らないからでもあります。「悔しかったね」「もっとやりたかったね」「びっくりしたね」と、大人が気持ちに名前をつけてあげることで、少しずつ自分のことばで伝えられるようになっていきます。落ち着いたあとに「さっきは悲しかったね」と振り返るのも効果的です。
やってしまいがちなこと、どう考える?
- つい大きな声で怒ってしまいます
- 疲れているときに声が大きくなるのは自然なことです。落ち着いたら「さっきは大きな声を出してごめんね」と伝えれば十分です。どうしても抑えられないと感じるときは、子どもの安全を確保したうえで、少しその場を離れて深呼吸しましょう。
- 言うことを聞かせるために、ずっと要求をのんでいいの?
- 危ないこと・人を傷つけることは、短いことばではっきり「だめ」と伝えます。それ以外は、時間や場面に余裕があれば子どもに合わせる、余裕がなければ親が決める、と柔軟でかまいません。
- たたく・かむがあります
- 手を止めて「たたくと痛いよ」と短く伝え、「いやだったんだね」と気持ちを代弁します。気持ちを表すことばを少しずつ教えていきましょう。
- たたく・怒鳴りつけるなどの体罰や暴言は、子どもの育ちに悪い影響があるとして、法律で禁止されています。
- 手が出そうなほど追い詰められたときこそ、相談先を頼ってください。
親が疲れ切らないために
- 「やらなくていいこと」を決める:朝の着替えがパジャマのままでも、保育園に行ければOK、など合格ラインを下げる
- 時間に余裕をつくる:出かける準備は10〜15分早めに始める
- 一人で抱えない:パートナーや家族と「今日は大変だった」を共有する。一時預かりなどを使うのも立派な選択です
こんなときは相談を
ことばの遅れが気になる、極端なこだわりやかんしゃくが長く続く、親の気持ちが限界…というときは、乳幼児健診や市区町村の保健センター、子育て支援センターで相談できます。1歳6か月児健診と3歳児健診は、母子保健法で市町村が行うことになっている健診です(乳幼児健診に関する取組み(こども家庭庁))。
電話やLINEで相談したいときは、子育てや親子関係の悩みを匿名で相談できる 親子のための相談LINE(こども家庭庁) もあります。受付時間は自治体によって異なります。
下の子のお世話で手が離せないときに限って、上の子のイヤイヤが強くなることがあります。「あとでね」が続くと、注目してほしい気持ちが強くなるためです。1日5分でも「上の子だけの時間」をつくる、下の子のお世話を「手伝って」と頼んで一緒にやる、など小さな工夫で落ち着くこともあります。
パートナーや祖父母と共有しておきたいこと
- 危ないこと以外は、まず気持ちを受け止めるという方針
- 家で使っている声かけ(「どっちにする?」「あと3回ね」など)
- 子どもが落ち着くもの(好きな歌、ぬいぐるみ、抱っこの仕方)
- 親が限界になったときに交代してもらう合図
大人によって対応がばらばらだと、子どもも混乱しやすくなります。完璧にそろえる必要はありませんが、大まかな方針を共有しておくと、親自身も「一人で背負っている」感覚が少し軽くなります。
「もう限界」と感じたときは
イヤイヤの最中の子どもは、眠い、お腹がすいた、思い通りにならない、気持ちを言葉にできない、といった理由で、自分でも感情をもてあましています。まずは安全な場所で、少し離れて見守るだけでも大丈夫です。抱っこで場所を変える、水分やおやつをとる、「ぎゅーする?」と気持ちを受け止めるなど、短い一言と環境の切り替えが効くことがあります。外出先でひどくなったら、早めに切り上げる判断も立派な対処です。
親がイライラのピークに近づいたら、子どもが怪我をしない場所にいることを確かめて、数十秒だけ別の部屋で深呼吸をしてみてください。その間に泣いていても、子どもは大丈夫です。「今日は食事が進まなくても、着替えができなくてもよし」と合格ラインを下げ、パートナーとは「朝は私、お風呂はあなた」のように役割を分けておくと、一人で背負わずに済みます。それでもつらいときは、健診や市区町村の窓口、親子のための相談LINEなど、頼れる先に話してみましょう。
あとで「さっきは大きな声を出してごめんね」と伝えれば十分です。完璧な対応を毎回する必要はありません。
公式リンク・相談先
まとめ
イヤイヤ期は、子どもが「自分」を育てている大切な時期です。気持ちを受け止める、小さく選ばせる、待つ。それでもうまくいかない日があって当然です。完璧を目指さず、合格ラインを下げて、つらいときは身近な窓口や相談LINEを頼ってください。今日をなんとか乗り切れたら、それだけで十分がんばっています。